David E Johnson


もう30年以上も前のことになりますが、僻地と呼ばれる場所や過酷な自然環境下で働き、活動し、そして生活をする特定の人々を対象とし、彼らが必要とする実用的な医療トレーニングを提供する為に我々Wilderness Medical Associates International (WMAI)が誕生することになりました。

 

 当時の一般的なファーストエイド(救急法)は彼らの求める特別な需要を満たすのに十分ではありませんでした。そこで、最新で最良の科学的研究に基づいた内容で、野外活動と医療教育の経験を持つ(特定の)人々の手よって教えることのできるカリキュラムを開発し発展させ、また定期的にアップデ―トすることが、我々のミッションとなったのです。そのミッションは今日も変わることはありません。

 

 北アメリカにおける団体の発足自体は決して華やかなものではありませんでしたが、その後に順調な成長を遂げ、今日では5大陸にそれぞれ支局を設ける国際組織へと発展を遂げることができました。このような世界への普及の原動力となったものは、おそらく我々WMAIの“思い“ではないでしょうか。信じることで成し遂げられた、そのことに各国の人々に共感して頂いたからだと信じています。これらの相互的努力により、現在ではパートナーシップを通じてWMAIカリキュラムは現地の人々の手により現地の言語で教えられています。日本支局である“一般社団法人 ウィルダネス メディカル アソシエツ ジャパン(WMAJ)”と同様に、ブラジル、中華人民共和国、アイスランド、台湾、タンザニアでも現地の人々によって(管理される)各支局が設立され、パートナーシップが結ばれています。また現在、イタリヤとタイにおいても支局の設立準備が行われています。各国で活躍中のWMAインストラクターの多くは、各支局の設立後に現地で開催されたWMAIコースの卒業生で構成され、インストラクターのローカライゼーション(各国における養成)も着実に進んでいますが、同時にWMAIは各国のインストラクターを可能な限り北米へ招き、北米式のトレーニングや研修を受講させることにも力を入れています。

 

 WMAJはWMAIにとっては2番目のパートナーシップ団体です。その発足から3年が経過しましたが、この3年の間には北米以外では初となる公式のインストラクター研修プログラムを開催し、その研修内容は北米インストラクター研修の全ての要素を含む、正式な研修プログラムの成功例となりました。またWMAJは国内の幅広い顧客層に訴えかけ、特に野外活動関係や医療関係の諸団体へ協調的に語りかけ続けています。その意味においてもWMAJは、WMAIカリキュラムの発展と普及のモデルケースとなっています。

 

 私はこれまでにプロフェッショナルとして、また個人として世界各国の人々との友情を育んできましたが、彼らからの国際的な協力により、WMAIカリキュラムの真価を世界に伝えたいと言う、私の個人的な夢が達成されました。パートナーとしてお互いに協力することでWMAIカリキュラムとトレーニングプログラムの価値を様々な人々へ訴え続けてきましたが、彼らの努力があったからこそ、現地の人々が真に必要とする内容へとカリキュラムを修正することが可能となったことも強調させて頂きたいと思います。

 

 これらの機会に恵まれたことを謙虚に受け止め、またこの場を借りて感謝の気持ちを伝えさせていただきます。