中村 富士美(Fujimi Nakamura)

WMAJ医療ファカルティ・看護師・国際山岳看護師・WALS国際野外救急看護師


 私が初めて「山」と出会ったのは、幼少期祖母に連れて行かれた山菜採りでした。

 

 祖母が山菜採りをしている間、山で遊んでいた私は、急斜面を滑落してしまいました。幸い大きな怪我もなく事なきを得たのですが、それ以降は「山は怖い」という記憶のまま時が経ち、「山」とは無縁の日々を送っていました。

 

 そんな私が数年前、あることをきっかけに「北岳」へ登ることになりました。

 

 普段トレーニングもしていなかったため、とても辛い登山でした。歩き慣れない雪渓では滑り落ち、稜線では夕立にあい、もう二度と山には登らない!と思った時、雄大な富士山に大きな虹がかかり、言葉にならないほど綺麗な稜線が姿を現してくれました。その景色は今でも忘れられない光景です。

 

 それから本格的に登山を始め、今では夏は縦走や沢登り、冬にはスキー、バリエーションルート、アイスクライミング等、四季を問わず登山を楽しんでいます。

 

 元々、野外救急に興味があった私は、友人に誘われ、WMAJ主催のアドバンスコースを受講したことをきっかけに、山岳医療に興味を持つようになり、2017年日本登山医学会認定(UIAA/ICAR/ISMM)国際山岳看護師となりました。

 

 看護師としては、都内の市立病院で救命救急センター、集中治療室、心臓カテーテル検査室勤務を経て、現在は非常勤職員となり病院勤務を続けながら、安全登山の啓蒙活動や、山岳地帯における行方不明遭難捜索、救助活動を山岳看護師の立場でサポートをしています。

 

 今までの臨床経験と遭難捜索、救助活動で得た学びを還元していきたいと思っています。