島の集落と反対側が主な活動フィールド、しかし電波圏外な場所が多数。海のアクティビティでケガ人などが発生すると、船で30分かけて戻り診療所へ。重症な人はそのまま東京の大きな病院へヘリコプターで転院対応になるが、ヘリ到着に約2時間、そこから搬送して約2時間弱。イルカウォッチングで有名な伊豆諸島、御蔵島での話です。
御蔵島をはじめ多くの島は同じような救急システムを運用しており、国内の島の多くがまさに「ウィルダネス状況下」といえる日常を過ごしています。
御蔵島の観光協会では、早い段階から島内ガイドさん向けに野外災害救急法講習会を採用しており、フィールドとアクティビティに最善のリスクマネジメントを学ぶ機会を創られています。
今回は、所属ガイドさんや船長さんむけの総合訓練としてお招きいただきました。
テーマは、共通言語を創ること。
・顧客を乗せて、ガイドと船長しかいない船で何かが起きた時、ガイドはどういう基準で傷病者と向き合い、どんな情報を聴取すべきか。
・船長は操船をしながら外部とコミュニケーションをとらなければならず、どんな情報を引き出し、何を伝えるか。
・観光協会は現場から上がってきた情報から何を捉え、どこに繋ぐか。現場へどんな指示をやアドバイスを出すのか
・診療所からして、「ほしい情報」とはなんなのか。
情報は基本的に「評価」によって導き出されます。
いい評価をするためには、知識とスキルがある程度必要です。
今回は御蔵島のイルカウォッチング観光での事故シチュエーションを模擬的に作り、ガイドと船長の取り組みをシミュレーションしながらこれらのポイントを学び、ディスカッションで島内の関係者によって深めあいました。
いいリスクマネジメントには「正しい心配」と「正しい行動」が必要です。そして、正しい心配には、人体の「いま」と今後を捉えられる知識が欠かせません。
WMAの提供する野外災害救急法カリキュラムは、合理性をもって傷病者のいまを見つめながら判断を下せるスキルを身に着けます。御蔵島でもそんなガイドブラッシュアップのきっかけになるような時間でした。
それにしても、全島民約300人のうち会場には30人近くがおり、島民の1割超がこのカリキュラムを知って共通言語がある。なかなか珍しい割合ではないでしょうか。
WMAJでは講師派遣を通して、アウトドアガイドさんなどに顧客の評価を軸にしたリスクマネジメントセミナーを受託しています。「理屈ある判断」の手助けに、ぜひご活用ください!
お問い合わせはWMAJまでお気軽に!
・御蔵島観光協協会:https://mikura-isle.com/
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