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『信州登山案内人能力向上研修―登山環境に適した救急法―』

『信州登山案内人能力向上研修―登山環境に適した救急法―』

 長野県からご依頼をいただき、12/21長野県松本市で「信州登山案内人能力向上研修」の一コマとして、WMAカリキュラムが採用されました。新型コロナウイルス感染対策のため、午前・午後と受講生を入れ替え方式で、「信州登山案内人」資格を持つガイドの方々、午前46名・午後29名の参加がありました。

 今回は『登山環境に適した救急法』というテーマで、ガイドシーンを想定したケーススタディからスタート。

ツアー登山中に起こりそうなケースについて、

・傷病者をどう評価してどう対応する?

・他のお客さんにはどう説明する?

・救助要請をした後の行動は?

といった視点でまずは個人ワークを通してみなさんに考えていただきました。

 個人ワークの後には考えた内容を発表していただくことにより全員で共有し、更に掘り下げて考えていただきましたが、「異なる考えがある」と積極的に挙手される方もおられたり、ご自身が経験された実際のケースを話してくださる方もおられたり、発言は傷病者の保護や現場での安全管理にも発展して活発な意見交換がなされました。

 また今回は、実際に山岳遭難事故傷病者の受け入れを行っている病院の医師にも視察いただき、遭難事故傷病者の現場における評価と判断、そして「緊急判断通報シート」を用いた情報収集の重要性についてコメントいただき、より登山環境での救急法の実際を考え深めることも出来ました。

 野外災害救急法のキーワード「分析的思考(クリティカル・シンキング)」を体験してもらいつつ、カリキュラムからケースを読み解き、実際にあった遭難事故事例なども交えながら「ガイドが備えるべき山での救急法スキルにいて」じっくり考えていただく。1時間という短い時間ではありましたが、ぎゅっと濃密な一コマとなりました。

 御参加いただいた方からはこのようなコメントがありました

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・ケースワークが、実際のガイドの場面で役立つ内容を参加者が考える形でよかった。

・あいまいにしていた部分がかなり明確になった、より現実的な知識の必要性を感じた。

・野外災害救急法は、必要なことなので案内人はこちらも受けるべきだと思いました。

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 国内には、野外救急法を教える団体がWMAJ以外にも複数活動をしています。必ずしもWMAJに拘る必要はないものの、「町では町の、山では山の救急法」をチョイスする必要性が近年急速に認知されつつあります。理由は簡単で、救急車や救助のアクセスに時間がかかる(=現場に居合わせた人がケアする時間が長い)ことにより、少し踏み込んだ人体の構造や長時間の傷病者の様子を予想できる力が必要になるからです。

 特に、ガイドのように顧客の安全を守ることを職務とする人のベーススキルとしては必須になりつつあります。長野県以外にも複数の自治体がこのような取り組みを始めたことにより、今後さらに加速していくものと考えられます。

 今回受講いただいたみなさま、日本中の山のガイドに野外での救急法を取得していただくこと、そしてその選択肢にWMAJカリキュラムが選ばれるようにこれからも精進していきたいと思います。

 WMAJでは個人で参加できる3月までのコースをHP上で募集しています。また、団体で取り組むことのできるインストラクター派遣(招致開催)も随時受付中です。